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Patents(米国特許出願)

スカラーとベクトル


翻訳の観点からすると、スカラー量とベクトル量の名詞の扱いの差異ということも重要です。円や球の半径や直径の線分の大きさのみとして、つまりスカラー量として考えている時はその値は一つしかありませんので、請求項で始めて出てきた時 the radius of the circle、the diameter of the circle と書くことができます。

ところが日本語の内容からして半径や直径の方向も考慮する場合、つまり日本語の筆者が半径や直径をベクトル量として考えている時は、対応する半径方向、直径方向と言うものは無限にありあますので、そのどれを指しているのかを規定する必要があります。ですから請求項で始めて半径、直径がベクトル量として出てくる場合は、定冠詞を使うと indefinite とみなされます。そこで定冠詞ではなく不定冠詞を使います。

例えば、「前述の円の半径」の「半径」が半径方向を意味して、複数ではなく単数の方向を意味する場合で、書いている請求項で初めて出てくる時は "a radial direction of the circle" と、不定冠詞を使い、更に翻訳者としてはあまりやりたくないことですが、原文にはない「方向」という言葉に当たる "direction" という言葉を挿入した方がより正しくい訳となります。

また日本人にとって厄介なのは、ベクトル量は日本人には単数の名詞として思えるものでも、英語に正しく翻訳するには複数にしなければならない場合があることです。日本語で「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」等と記載がある場合、翻訳文では a/the direction で正しいように思えます。しかし単数形の direction は英語では一方向しか表しません。ですから、例えば日本語の原文に「横方向に移動自在に搭載されたテーブル」と記載されている場合、 “a table mounted in such a manner that it can freely travel in lateral directions” と複数形にして翻訳すると「右にも左にもどちらの方向にも自在に移動できる」という意味合いがより正しく訳し出されます。

逆に "in a radial direction" と半径方向が単数で現れる場合は、もちろん前後関係にもよりますが、英語の読み手は「一方向だけ」と解釈します。日本語では単数複数を区別しないので、そうは考えないと思いますが。
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